厚生労働省の統計によれば、現在も糖尿病の増加は衰えることを知らず、年々増えつづけ、その内治療されている患者さんは50.6%と約半数、41.6%はまったく治療を受けていないのが現状です。日本人の生活習慣が変化するにつれ、糖尿病は年々急激な増加傾向にあり、40歳以上の人で4人に1人が糖尿病疑い、あるいは糖尿病をわずらっていると言われています。糖尿病の3大合併症である神経症、腎症、網膜症については知っていても、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症を意識している患者さんはわずか46.4%で、糖尿病患者さんの平均寿命は健康人に比べ男性で9.4歳、女性で13.5歳短くなっており、さらに合併症によるQOL(生活の質)の低下を考えると、厄介な病気で糖尿病に関する啓蒙活動をより盛んに行うことが急務となっています。糖尿病は完治する病気ではありません。しかし早期より血糖コントロールを良好に保つことが出来れば、健康人とまったく同じ健康状態を保つことが出来、そう考え実行できればあまり厄介な病気ではなくなります。
糖尿病には初めからインスリンの分泌が足りない1型、ある程度分泌のある2型があります。1型の糖尿病の治療にはインスリンが必要です。最近のインスリンの進化はめざましく、個人の生活パターンに合わせて効果を発揮するインスリンも開発されております。またインスリンの注入器も簡便で痛みもほとんどなくなりました。2型糖尿病の治療は食事運動療法に加え内服治療が必要な場合があります。内服薬も個々の血糖上昇パターンに合わせて、きめ細かな血糖コントロールが出来る様になりました。しかし、1型、2型糖尿病にかかわらず治療の基本は食事と運動療法です。食事運動療法なくしては、いくら良い薬剤が開発されても必ず血糖コントロールは乱れてきます。
患者さんの長年の食生活習慣、日常の活動度、年齢はさまざまで画一的な食事指導はよくありません。当院では糖尿病療養指導士の資格を取得した管理栄養士、看護師らが医師と連携しながら個々の患者さんにあった適切な食事運動指導を心がけ、将来に渡り合併症の起きない健やかな生活を保たれるよう努力しております。
糖尿病の早期では自覚症状がほとんどありません、症状が出たときはかなり進んでいる状態です。検診などで血糖の異常、尿糖陽性を指摘された場合は放置せずご相談ください。
また、当院は多臓器にわたる病気を合併されている患者さんも多く、そのため他の専門科、また多くの機関病院とも速やかに連携できるシステムができております。安心して何でも気軽に相談していただけるホームドクターでありたいと願っております。
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